Game Mediation

PCゲーム、3DCG、哲学など

Evoland 受動的立場に特化した作品

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RPGの進化を追う”というコンセプトのもと制作された(基本)RPGの今作。良い方向にも悪い方向にも思うところがありましたので感想を書いていきたいと思います。ちなみに元のゲームは48時間以内にゲームを作成するイベントで作られたフラッシュ版らしいです。 ※3つ目の項目にラスボスについての記述アリ

ゲームの進化を目前に、実感できる歴史

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今作の序盤はやはり、このうん10年間で最も大きく進化したであろうグラフィックスの進化に焦点が当てられる。フィールド上に落ちている宝箱に触れることで画面が一様に変化する。この瞬間の高揚感と言うと本当に例えようもないほど楽しい。他にもゲームの根幹である要素がどんどん追加されたり改変されていく様子はワクワクを抑えられない。

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次に改変、又は追加される要素はゲームプレイに関するものだ。メインとなる形はCTBシステムを採用した純粋なRPGゼルダシリーズのようなアクションを推した2スタイルとなっている。この2つに関しては後述するが他にも1ダンジョン限定でのハクスラや、街でプレイできるカードゲームなどが導入されている。

過去と未来を駆けるパズルシステム

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ほんの一瞬ですがクリスタルに触れて過去と現在(のシステム、グラフィック諸々)を行き来して進む仕掛けがありました。これはビジュアル的にはもちろんですが音楽やシステムまで前後するのがとても楽しいもので、もっと発展させても良かったのではと惜しくも思われました。

能動的魅力の完全な欠如

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ゲームは大きく分けて2つの立場から「楽しさ」を享受することができる。グラフィックやストーリーなどゲームが提供するものを自然に受け入れられるのが“受動的立場”。これに関して言えば今作は前述したように完璧だった。しかしプレイヤーが何かしらの目的を持って行動した結果「楽しさ」を得られるという“能動的立場”はこの作品には全くない。例えばRPGパートだが設定されているパラメーターはHP、攻撃力、防御力のみで(強いて言えばメータースピード)目的のエリアを突破するためのレベル上げは単純さを極めすぎていて寝落ちしそうになった。アクションパートに関しても作りが雑すぎて何も面白くない。

ラスボス時には何回も死ぬことが予想されているのにも関わらずゲームシステムが進化しすぎたせいなのか飛ばせない会話シーンが挟まれエンディング目前でやめてやろうかと思ってしまった。しかしこの仕様は現代ゲームへのアンチテーゼと考えると割とすんなり受け入れられるんじゃないだろうか。製作者は(インタビューより)現代の日本産RPGにあまり良い印象は持っていないようだ。それはそれで良い表現だと思う。しかし一番腹が立ったのは彼らが愛してやまないという古き良きRPGをリスペクトしたRPG部分が最もつまらないということだ。ゲーム中は「彼らはよっぽどRPGが嫌いなんだな」と思わずにはいられなかったのは確かだ。


最初の1時間のみプレイする価値アリ。