Game Mediation

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Medal of Honor Warfighter ブリーチの必要意義を考える

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MoH Warfighter(以下MoH W)におけるブリーチング、正確にはDynamic Door Breachと呼ばれているこの要素。正直クリアした後であっても、その必要意義がハッキリしない。実際の兵士に敬意を払いながら製作したと言う今作の事であるからただただ取って付けただけの要素ではないだろう、と思いいくつかの候補をここに挙げたいと思う。※ネタバレ有り

Dynamic Door Breachとは

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Dynamic Door Breach(以下DDB)とはMoH Wのシングルプレイにおける新たな要素だ。プレイヤーはどのような手段でドアを破壊するのかを選択し、突入する。一定時間スローモーションの演出が入るのでその間に敵を殲滅する。デフォルトの状態ではDDB間に4回ヘッドショットを決めるごとに新たなDDB手段をアンロックすることができる。

ロック順

◾Kick

◾Tomahawk

◾Crowbar

◾Shotgun

◾Door Knob Charge

Flex Linear Charge

◾Sheet Charge

あまり変化は感じられないが準備作業の静かさと突入時の衝撃の大きさ(怯む時間の長さ)が段々と向上していく。

1.最後の一撃説

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今作最後のブリーチは従来のDDBシステムとは全く違う状況で行われる。通常、複数人いるはずの味方が1人しか居らずドアを破るのに特殊な手段は使わなかった。最も特徴的だったのは突入した瞬間に即射殺という手順が取られなかったことだ。

主人公はこのブリーチの直前に火事で弱った敵兵たちを半ば虐殺のような形で処理していた。すぐに手を出さなかったのは殺人に対する罪悪感が彼らにそうさせたのかもしれない。(ブリーチ直前に「~のために…」と正当化を図っていることからも窺い知れる)

しかし彼らはそういった負の感情を抑えようとした行動によって更なる自らの罪に気づかされることになる。勢いよく部屋に入ってみればそこには老いぼれた爺が一人。あっけに取られている主人公を横目に最終手段である爆破スイッチを押そうとした時、例のスローモーションが始まる。そこで彼らの目に映るのは恐怖で体をぎこちなく動かす一人の人間だった。ここでプレイヤーは今までにどういったことを大勢の人間にやってきたのかと言うことを理解する。


というのが一つ目の見解。つまりDDBの全てはラストの展開のために用意されたということ。

2.現代ゲームへのアンチテーゼ説

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MoHという一時代を築いた大きなタイトルであっても時代の流れに身を任さなければ簡単に消えてしまう。Sprinter Cellシリーズが純粋なステルスを妥協しアクション成分を混ぜたようにMoHもド派手で非現実的な演出を取り入れなければいけなくなった。

そこで登場したのが船上での爆発が絶えない戦闘や、ミニガンでの敵の殲滅だ。これらこそ「売れるため」に必要な要素であった。しかしMoHはここで反撃に出た。CoDシリーズに代表する「スローモーション」をこれでもか、と言った風に導入したのだ。しかも全く面白くなく成長要素も陳腐極まりない作りだ。これは現在最も売れているCoDシリーズへの、そしてそれらを支持するゲーマー達への「これが好きなんだろう、好きなだけやれ」という皮肉ではないだろうか。

MoHのリアルさが否定されたのはMoH(2010)でハッキリとしている。また意外なことだがCoD MWまではCoD側が一介の兵士としてのリアルさを、MoHは一人の兵士のヒロイズムをと今では間逆の方向を突き進んでいた。


結果的にMoH(2010)よりも酷評を受けたのも、この意図のもとであれば満足なのかもしれない。

まとめ

一つ目は肯定的に、2つ目は否定的にDDBという要素を見てみましたがいかがだったでしょうか。どちらもそれなりに考え前者に関しては似たような意見を海外スレッドで見受けることもできました。個人的には圧倒的に後者なのですが、このように終わったゲームについて考えさせられるというだけで今作は十分魅力的なのではないのでしょうか。皆さんの意見も聞いてみたいところです。