Steamでの販売が滞りなく行われ日本語も入っていた今作。漫画で全編の内容を把握した上でプレイしてまいりました。クリア時間は全Tipsも含めて9時間程度。クリア時間についての情報はこれから始める人や途中まで読み進めている人間にとっては思った以上に有益な情報である。
巧みな恐怖演出
今作の前半は非常に明るい場面が連続して展開され後半に進むにつれて暗い雰囲気が広がってゆく。その変化を最も効果的に印象付けるのが今作のBGMである。また特徴的なSEと現代風に書き換えられた立ち絵、そして原作のままのおぼろげな背景、主人公視点の文章と合わせてプレイヤーの恐怖を煽る。
しかし原作絵を無視してゲームをプレイすることは本当に正しいのか疑ってしまう。上の画像だけでもその生理的嫌悪の段違いさが露呈してしまっている。正直下の画像はクリックして拡大するのもイヤだ。
逆に恩恵のほうはこれ以上ないほどに分かりやすいだろう。超拡大したい。
まずプレイ時間が長すぎる。ノベルゲーム中では屁でもないクリア時間らしいが実際に漫画版は2巻で完結しているのだ。(読了まで1時間かかるだろうか?)その原因としては転校生であり主人公である圭一の幸せいっぱいの日常の描写が助長過ぎる点にあると考えられる。プロローグに当たる鬼隠し編であるからキャラクターの印象を残すのは確かに大切だがそれにしたって反復が多すぎる。もう少し減らしてくれても日常の崩壊による衝撃が衰えることはなかっただろう。
また先ほどBGMを褒めたが所々ループのさせ方が旧世代を感じさせる不自然さを見せた。没入に当たって非常に邪魔な存在であったのでどうにかならなかったものか。
鬼隠し編をクリアするとキャラクターたちが役者という一個人として物語に対する見解を漏らす「おつかれさま会」がアンロックされる。これはゲーム中の圭一の最後のメッセージにもあったようにプレイヤーに推理とその道筋の発見を促している。これがなかなかに新鮮で気に入っている。というか全貌を知ってしまった自分にはその微笑ましい絵面を楽しむ他にない。
プレイ時間こそ長かったが、そこそこにプレイした価値のある作品でした。どうしても原作からやりたいという方以外にはアニメや漫画をお勧めしたい。