この作品に興味を持ったのは“強迫性障害やうつ病を患った開発者自身の夢を描いた”という情報からでした。
ネットで調べるといくらでも転がっている精神病を患った人間の描いた絵などには不思議な魅力が感じられる、
といったことと同じことでこの作品にもその魅力がこれでもかと詰め込まれていました。
プレイヤーは主人公であるThomasを操り作者の夢を追体験します。ゲームは基本的に奥行の概念がある
横スクロールで進行します。ドアノブや額縁など色の付いたものに干渉することができます。
スタート地点はいつもベッドであり夢の中で夢を見ている、という終わらない悪夢を表現していると思われます。
主人公は“あるオブジェクト”を見つけたとき以外は死体が山積みになっていようと徘徊する狂人が
真横を通っていようと表情を変えようとは
しません。実際プレイヤーも先に存在するであろう恐怖を必死に
回避しようと主人公の半径しか見ることはなく主人公の本来のリアクション=プレイヤーのリアクション
と表現しても何ら問題はないように思われます。
特筆すべきはホラーゲームにおいては特に重要とされるオーディオ関係の出来。
開発者が強く推す通りそのサウンドは素晴らしく左右への音の振りの細かさによって臨場感を高めます。
またBGMはおよそ常人では作り得ないであろう恐ろしい不気味さを有しており独特なグラフィックと相まって
プレイ中鳥肌が止まりませんでした。
エンディングは分岐によって4つに分かれており分岐点がおおよそにしか分からないので今のところ
一つのエンディングしか見ることができていませんが、この作品は開発者の夢を元にしているため
物語は不条理を極めておりとても考察には届きません。強いて言うなら開発者の心理鑑定になるのかと。
しかしその意味不明さがOutlastなどと比べるとゲーム中の恐怖を維持しておりホラーとしては非常に高品質。
ちなみにこれが同開発者を含むチームが以前にリリースし大失敗したという作品“Retro/Grade”
キャンペーンは難易度にもよりますが1時間程度でクリア可能。アクション+リズムゲームといった
作品で音楽とゲームプレイが絶妙にマッチしていて非常に楽しい作品でした。
遊び比べてみるとギャップが大きすぎて言葉を失いました、ぜひどちらもプレイしてみてください
ではまた~