Game Mediation

PCゲーム、3DCG、哲学など

Dying Light 途方もない魅力、その一部

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だいぶ前からプレイしておりプレイ時間は15時間を越えたところですが記事にすることができませんでした。その理由は、というと今作の魅力が余りにも多様で非常に説明の難しい構成であることにありました。今回の記事で紹介する魅力は今作の残虐で重みのある戦闘という恐らく語りつくされたであろう要素の上にあるものとして考えていただけると幸いです。

ゾンビへのキャラクター付けと、その効果

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プレイヤーはあるサブクエストでゾンビとなった妻を殺せずに苦悩するおじいさんに出会う。彼が妻をどれだけ愛していたのか、というのはサブクエストの一連の流れの中で描写されており、一匹のゾンビに極上のキャラクター付けが施される。そしてプレイヤーはそれを狩りにいく。

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このステージの作りがまた秀逸で不気味なうめき声とプレイヤーを誘導するかのような配置は、たった一匹のゾンビに対する恐怖を最大まで引き出すことに成功している。またおじいさんの言った「楽に死なせてやってくれ(銃で頭を一発)」という誘導も見事であった。“乾いた銃声”というのはこういうことを言うのだなと思わせられた。

暗闇の中の対人戦闘、まさにハント

2015-06-14_00009.jpg今作の戦闘にはゾンビだけでなく理性的に行動する人間の敵も用意されている。彼らとの室内戦、特に近接武器しか持ち合わせていない頃のものは緊張感があり必死になって攻略する必要がある手ごたえ十分なものとなっている。

しかし、銃を手に入れた瞬間からDying Lightは全く異なる楽しみをプレイヤーに提供する。それは正に人間に対する蹂躙の開始だ。頭に銃弾を命中させれば即死するというARPGらしからぬバランスは難易度を大幅に下げるだけでなくプレイヤーに、これまでに軟弱なゾンビに対しても成し得なかった圧倒的高位の立場を与える。

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この殴り合いを前提としていた人間の脳みそを引き金一つでぶちまけられるという快感は極上のカタルシスをプレイヤーに与える。こんなにも強大な暴力的衝動を引き起こすことに成功している作品はDying Lightが初めてであると自分は思う。


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時折見せるどこか寂しそうな風景、素敵です。