Game Mediation

PCゲーム、3DCG、哲学など

地方民が感じる『Ghostwire Tokyo』への疎外感

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うおー!スクランブル交差点だー!知らねえーーー!

『Ghostwire Tokyo』は現代の東京を舞台にした一人称除霊アクションだ。住民は謎の霧に呑まれて文字通り霧散しており、主人公ひとりが霊と対峙しながら東京を練り歩く奇妙なシチュエーションを体験することとなる。※微ネタバレ有

 

特筆すべきはこの東京が現実世界のそれをかなり忠実に再現しているという点だ。Twitterでの発言によると「○○(地名)に行け」と言われたら、東京に馴染みのある人間はゲーム内マップをみずとも行けるくらいの再現度らしい。

 

「らしい」というのは私は東京に住んでいないのに加えて、人生で2回ほどしか東京の地を踏んでいない人間である故の表現だ。なのでいくらこの作品が東京を忠実に再現しようとも私には普通の作品と同じく「ただダンジョンが並んでいる」のに過ぎないわけだ。

 

象徴的なショッピングビル(?)がストーリーが展開される場所に選ばれようとも、その意図をくみ取ることはできない。地下に広がる空間がどのような意味を持つのか分からない。サブクエストで繰り広げられる地元トークについていけない。

 

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もちろん東京のようなちっちぇえ土地のローカル知識を携えずともこの作品を楽しむことはできる。そのような特殊知識を必要としないTangoお得意の夢や幻覚、怪異の類が現実世界を侵食する表現は今作においても素晴らしかった。

 

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それでも物語が展開されるのは東京の象徴的な建物や場所だ。この辺りがあの世に近い地として描写され、あの辺りが特徴的な怪異が出現する場所として描かれる。東京に住む人間はその意味と場所の重なりを生活に紐づいた感覚で理解するのだろう。

 

こんな必然的な事実さえ私は終盤に東京タワーを見て初めて気が付いた。それほどまでにこの作品において東京に馴染みのある人間と、地方の人間との溝は深い。考察を深めるにあたって絶対に超えられない壁を感じるのだった。

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以上特定層に対するネガキャンみたいになってしまったが、総評として『Ghostwire Tokyo』は素晴らしい作品であった。どう考えても面白くならないと構えていた除霊戦闘システムはシンプルながらも上手くできており、倒す敵の順番やアイテムの使用を考えながらするプレイは非常に楽しかった。また詳しくは言わないが主人公と相棒の掛け合いは今作のシリアス過ぎない空気を作る心地よいものであった。

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ネコに注意深く触り、イヌをわしゃわしゃ触る『Ghostwire Tokyo』はPS5/PC向けに好評発売中。次回作はぜひともGhostwire Kyushuを作って多くの人間に疎外感を与えてほしい。